お腹が空くのはなぜ?
そもそも、どうして私たちはお腹が空くのでしょう?いえ、言い方を変えて、
脳はどうして私たちにお腹が空いたという感覚を与え
何か食べたくなるように仕向けるのでしょう?
そんなことを深く考えたこと、ないですよね。脳が私たちに空腹を知らせ、食べ物を食べるように促すのにはちゃんと理由があります。お腹が空くのは、食べないと体を動かすエネルギーがなくなって死んでしまうからというのが1番の理由です。が、もう一つ大事な理由は
脳が機能するためのエネルギーが
枯渇するためです。
脳はものすごいエネルギーを使う反面、エネルギーが枯渇したら死に直結する可能性があるので、できるだけ簡単に利用できるエネルギー源を主に利用しています。
糖質は
エネルギーになるまでの化学反応の回数が
最も少ないエネルギー源です。
糖質はよく現金に例えられます。
何かお買い物をしたくなったらぱっと出してすぐにお買い物ができる、そういう簡単な使い方ができる通貨ですよね。ちなみに脂肪は、外貨預金に似てると言われます。実際日本円として使うまでに、申請も手間だし実際振り込まれるのにもとても時間とお手間がかかります。
理性で止められない食欲はなぜ起こる?
さて、エネルギー不足を起こさないために糖質を選んでいる脳。まさかエネルギー源が不足するなんて状態は一大事中の一大事。脳は全力で全身に指令を出します。
これが、理性では抑えられない急にやってくる甘いもの欲求の理由です。甘いものは糖質の塊ですからね。食べた途端に血液中の糖質の量が増えて、脳にエネルギーチャージ完了!
の、ような投稿をSNSで見ることがありますが、これは典型的な
無益な絶食による全身の低血糖。
そして低血糖による脳の飢餓状態。
そして、脳からの飢餓状態を脱却せよという命令に従順に従った結果です。当たり前のことですが、スリムなボディになりたいわっという願いを叶えるよりも
私たちの体は
生命としての存続を重要視します。
このまま糖が来なかったら死ぬ…と脳が感じて出す生命存続のための命令に抗えるわけないのです。
血糖値が動くのはどういう時?
1・炭水化物(糖質)を食べたとき
血液中の糖質量、つまり血糖値が大きく変化するタイミングは大きく分けて2つあります。1つ目はご飯を食べたとき。その中でも糖質のをたくさん食べたときです。
実は血液中に糖質が多すぎる状態は
脳にとってあまり良いものではありません。
動物は全て、酸素がないと生きていけないのに酸素があると酸化して不調を起こしますが、それと同じで、私たちの体は良い面と悪い面を持ち合わせる物質をたくさん利用しています。脳に関しては、糖質を自分の最大のエネルギー源にしておきながら、
血液中の糖質が増えすぎて高すぎる状態が続くと
脳にダメージが加わります。
脳へのダメージなんて一大事ですよね。大事な脳を守るために、体はすぐさま一定のラインより血液中の糖質量が上がらないようにします。そういうメカニズムが体には備わっています。
ここで、脳にとって多すぎる血液中の糖質をすぐにバキバキ体外に捨ててくれるメカニズムだったら、こんなにお腹のお肉に悩まされることはなかったのですが、貴重なエネルギー源である糖質が体に入ってきたわけですから、
と、しっかりため込みます。例えるならば、自分では買わないような高級なお菓子を職場でもらっちゃった時、今は食べたくないけど美味しそうだしあとで食べたい!と、お一つカバンに忍ばせて持って帰っちゃうという感じですね!
食事によって血液中の糖質量が増え、増えすぎた糖質はホルモンの力で血液中から脂肪細胞に入ります。ホルモンの絶妙な働きで血液中の糖質の量は脳にとって快適な量まで下がります。この一連の流れが食事由来の血糖値の変動です。
問題は血糖値の下がりすぎ
問題なのは、
血糖値を下げるためのホルモンが出すぎてしまう
ことです。過剰に出てしまったホルモンの作用で、想定よりも脂肪に糖質を取り込みすぎて、血液中の糖質量が想定よりも下がってしまうことがあります。そうすると脳は再び全力で指令を出します。
と。そして信じられない量のお菓子をばくばく食べる。これが血糖値の乱高下からくるドカ食いのメカニズムです。
「食事の最初に炭水化物を食べると太る」
と聞いたことがあるかもしれません。これは、炭水化物は糖質の塊のようなものなので一瞬で血液中の糖質の量を跳ね上げる食べ物だからです。
一瞬で跳ね上がった血液中の糖質量を体が感知して、この跳ね上がり方ならまだまだホルモンを用意しておかないと脳にダメージが加わるほどの糖質の量になってしまう!と体が予測。血液中の糖質を脂肪細胞に取り込むホルモンを大量に出して、大量糖質アタックに対する事前の準備をして待ち構えます。
このホルモンのことを
インスリンといいます。
はい、糖尿病でお馴染みのホルモンですね。作用はよくわからないし、糖尿病ではないから関係ないとお思いの方も、実は痩せる&太るのお話には切っても切れない関係のホルモンなので、ぜひ覚えておいてください。体が脂肪を溜め込むメカニズムがわかっていれば、どうして最初の一口にお米よりもサラダを食べた方が太らないのかが分かりますね。ちなみに、お分かりかと思いますが、
最も血糖値を跳ね上げるのは
糖質の塊であるスイーツです。
2・とにかく絶食した時
さて、血液中の糖質の量が揺れ動くもう一つのタイミングが、とにかく絶食をし続けたときです。ここでいう絶食というのは
理論的なファスティングという意味ではなく
単なる飯食わずのご飯難民
という意味です。私たちには生活のリズムと言うものがあります。1日3食食べる方もいれば、2食の方、中には1食なんて方もいるかもしれませんが、いずれにせよ定期的に糖質が体に入ってくるリズムで体は準備し、動いています。それなのに、ある日突然思いついたように
と一念発起して糖質の供給が突然カットした場合、食事で賄うべき血液中の糖質が得られなかったわけですから、血糖値はどんどん下がってきます。
食事を取らなかったときの血糖値の下がり具合は各個人の臓器の能力や、日頃の睡眠の長さなどによります。私たちのため込んだ脂肪をうまく糖質に変換できる人は、食べなかったとしても血液中の糖分の量が安定しやすいです。ただし、世の中には色々な体の状態の人がいます。
脂肪を糖質に変えるホルモンが出にくい
脂肪を糖質に変えるホルモンが他で消費されている
代謝に酵素に不可欠なミネラルが足りてない
代謝に酵素に不可欠なビタミンが足りてない
代謝回路を止めてしまう有害金属が体に多い
だと、うまく脂肪から糖質が作れません。そういう方はどんどんどんどん血液中の糖質が少なくなっていきます。そして、デッドラインを超えると、脳は再び指令を出します。
そしてその指令を受けた生き物はこうなります。
世の中には、この脳の強烈な指令を受け取ることができず、手が震えたりめまいがしたり意識を消失する人がいます。これを低血糖発作といいます。そこまでなったことない人は、ある程度自分の臓器が対応しているのと、きちんと脳からの命令を聞いてばくばくどか食いをしているはずです。
結論!空腹には理由がある
さて、これでわかったように
脳への糖質の供給を安定させれば
急激な空腹は起こりません。
一方、脳ではなく体を動かすためには、急いで糖質を食べろという命令は出されません。だってお腹の周りにたくさんエナジータンクを積んでいますからね!体を動かすエネルギーはお腹に溜まった脂肪を分解する時間をゆっくり待つ余裕があります。例えるなら…脳にとって体のことは他人事なんですね。自分の栄養の枯渇については本気で命令するけど、他人事のときはめんどくさいって感じです。私たが気遣うべきはただ一つ。脳です。私たちが照準を合わせる相手はただ一つ。脳です。